HOU一級建築事務所

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HOU一級建築士事務所のご紹介

HOUの原点 ~CASA VERDE~

CASA VERDEが竣工したのは1981年、今から約30年前である。依頼者は都市計画家のS氏。S氏の依頼条件は大胆かつシンプルなものであった。

「私の家族(祖母、夫婦、4人の子供)のための家をつくってくれ。君に提供できるのはこの土地(約300坪)だけである。但し、この土地にこだわる必要ない。全て任せる。条件は一つ、個室と広間のディメンションは1:8以上。」というものであった。

この土地の持っているポテンシャルは相当に高いものがあるという判断のもと、敷地を南北に分割し、北側に150坪に事業費全体をまかなう為の賃貸集合住宅を、南側に住宅の個室群を配置しその間に大屋根で覆い、広間、厨房空間とした。S氏はもともと相当建築に精通した人であるが、その間一度も計画に注文をつける事はなかった。ただ一度だけ、当時、銀行は融資を渋っていた時代だったが、僕がセットした銀行の支店長とS氏の面談の席で、S氏の「銀行は金利を取る以外に一体何をしてくれるというのか!」という一言でほぼまとまっていた融資が破談となったことがあった。当時からS氏はプロジェクトとは参加する全ての人が平等の立場で自己責任と信頼のもとに行う共同作業であるという理念を持っていたのだと思う。

HOU事務所はものづくりの原点としてこの理念を今も大切にしている。また、その後のHOU事務所への仕事の依頼はほぼこの様に行われてきている。

尚、約30年たった今、S氏の子供達はそれぞれ独立した家庭を持ち、北側の共同住宅で生活を営んでいる。1:8のディメンションでつくられた居間は家族全員(現在16名!)の共用スペースとして使われている。毎週水曜日の朝、S氏自ら催すビュッフェに立ち寄って出掛けて行くとのこと。数世代に渡る大家族全員の壮観な集合写真(年々増えてゆく)の年賀状には、毎年「ありがとう」と記されている。

CASA VERDE (1981)

所在地:世田谷区梅丘
用途:個人住宅/共同住宅
構造:RC造
規模:地上3階

主屋の居間から庭の眺め。

アプローチからエントランスを見る。左側が共同住宅、右側が主屋個室群、中央は大屋根の下の玄関。

庭から左側より主屋個室群、大屋根の下の共有スペースとしての居間、共同住宅棟。

共同住宅棟のファサード。ピロティは駐車スペース。

共同住宅棟の階段室。